昨日のラジオ放送での演奏はホントに冷や汗ものでした。そこで今日はちょっと真面目な話。直前の練習でD氏に注意されたのが、「楽譜をなぞるのではなく、もっと回りを聞け!」と。ガムランには、ジャズのコード譜のような簡単な数字譜があり、それをバルンガンと言います。一方、歌や様々な装飾楽器が奏でる旋律はラグと言って、それは楽譜には書いてありません。ラグは演奏家によっても解釈が違ったりするので、演奏の場で常に回りを聞かなければなりません。D氏は「バルンガンは目や鼻や口で、ラグはお化粧」、或いは「バルンガンは部屋(柱や床等)でラグは内装」だと説明して下さいました。なるほど、同じ部屋でも色調を明るくするか暗くするか、時には2部屋ぶち抜きにするのか…等、内装によって部屋の雰囲気は随分変わりますよね。和室なのに絨毯を敷いてわざと洋室にするということもあるわけです。楽譜では5と書いてあっても、実際は6を叩いた方が良い場合もあり、その見極めの為には常に自分の耳を四方八方に開かせていなければなりません。その感覚が掴めると音の海にしっくりはまったような心地良さを感じるのだと思います。…な〜んて、まだまだですが、率直にアドバイスしてくれたD氏には感謝です。
(バニュマスのワヤン博物館にあった数字譜)